SaaS導入のメリットは?導入の流れや注意点をSaaS導入支援の専門家が分かりやすく解説します
インターネットの普及によりビジネス環境が大きく変化する中、SaaSというクラウドサービスも多くの企業が注目するものとなりました。
しかし、他のクラウドサービスとの差別化や他社サービスとの差別化を行うためには、SaaSのメリットなど特徴を把握したうえでの運用が必要です。
そこで、今回はSaaSの導入のメリットや導入の具体的な流れについて解説します。注意点なども踏まえてご紹介するので、参考にしてください。
目次
SaaSの概要
SaaSとはクラウドサービスの1つであり、正式名称はSoftware as a Serviceといいます。
従来であれば、ソフトウェアやアプリケーションは個人の端末にインストールすることで初めて利用可能であり、その端末でのみ利用するものでした。
しかし、SaaSを導入すればソフトウェアやアプリケーションの機能をネットワーク経由で利用できるようになります。
メールやコミュニケーションツールが最も身近な具体例となりますが、端末にインストールすることなくインターネットに接続していればいつでもソフトウェアを利用することができるサービスです。
▼SaaSとは?詳細はこちら
PaaS・IaaSとの違い
類似したクラウドサービスの種類として、PaaSやIaaSがあります。
SaaSと混同しやすいですが、どちらもSaaSとはサービスの提供範囲が異なるため細かい違いを理解したうえでの利用が必要です。
ここでは、それぞれの違いについて解説しましょう。
PaaS
PaaSの正式名称はPlatform as a Serviceになります。
インターネットを通じてシステム・アプリケーション・ソフトウェア開発などを行うために必要となる、ランタイムやデータベースなどを提供するサービスです。
ソフトウェアなどの開発側は、コードの記述に専念できる点が特徴になります。
SaaSと異なる点は、サービスの提供範囲です。
クラウドサービスは6つのレイヤーからなり、アプリケーションソフトウェア・ミドルウェア・OS・サーバー・ストレージ・ネットワークの順で深くなる構造になっています。
※データとアプリケーションはアプリケーションソフトウェアに含む
SaaSは全てのレイヤーが提供範囲です。一方PaaSはミドルウェアまでしかカバーしておらず、アプリケーションソフトウェアは提供範囲には含まれていません。
▼PaaSとは?詳細はこちら
IaaS
IaaSとはInfrastructure as a Serviceの略称です。インターネットを通じて、主にストレージ・メモリ・CPUなどを提供するサービスのことを表します。
ユーザーは自由なリソースの構成が可能であり、任意のアプリケーションを開発・構築できることが特徴です。
SaaSとの違いは、PaaS同様に提供範囲が異なることにあります。IaaSはサーバーまでしか提供範囲に含んでいません。
カバーされているレイヤーの範囲が狭いほどカスタマイズ性は高くなり、カバーするレイヤーの範囲が広がるほど運用管理や構築の手間を削減できる特徴をもちます。
そのため、IaaSはSaaS・PaaSと比較すると最もカスタマイズ性が高いことが特徴です。
▼IaaSとは?詳細はこちら
SaaS導入のメリット
SaaSと各クラウドサービスの違いについて把握できましたが、導入を考えるのであればSaaSを使用することのメリットについても押さえておかなければなりません。
ここでは、SaaS導入のメリットについて解説します。
導入がスピーディーにできる
ひとつ目のメリットが、導入がスピーディな点です。
パッケージ版のアプリケーションやソフトウェアの場合、端末などのハードウェアやミドルウェアの用意が必要になります。
そして、そこにアプリケーションやソフトウェアをインストールして初めて使用可能です。
しかしSaaSを導入すれば、インターネットに接続しているだけでアプリやソフトウェアの機能を使用できるようになります。
インストールの手間なく、簡単かつスピーディに導入できるのです。
どこからでも利用できる
場所を問わずどこからでも利用できる点も大きなメリットになります。
従来のソフトウェアやアプリケーションでは、インストール済みの端末でしか機能の利用は不可能でした。
そのため、何らかのトラブルなどで端末が使用不可能になれば、他の端末からの利用ができないためにソフトウェアも使用不可能な状態に陥ってしまいます。
一方、SaaSを導入すればアカウント情報やデータはクラウド上に保存できる仕組みです。
そして、それらの情報をインターネット経由で呼び出せば、あらゆる端末で利用が可能になります。
PC・タブレット・スマートフォンなど端末にもとらわれず、場所も問わないので在宅勤務のような環境が全く異なる場所でも臨機応変に対応可能な点は大きな特徴です。
導入コストが安い
導入コストが安いこともSaaS導入の大きなメリットになります。通常、高度なアプリケーションソフトウェアをあらかじめ導入しておくことは、非常にコストを伴うものです。
しかし、SaaSについては導入にあたっての費用は非常にリーズナブルになります。サブスクリプション方式をとっていることが多いので、毎月一定額を支払えば低コストで導入が可能です。
しかし、大規模な企業で導入する場合は、全社導入するとなると高額になるケースもあります。
その場合は、一部の社員分だけ契約を行うといった対策をとるか、無料期間を利用して試運転の効果や様子を見て検討してもいいでしょう。
ソフトウェア開発を行う必要がない
SaaSを利用すれば、自社でソフトウェアを開発する必要がなくなることもメリットのひとつになります。これは、すでに完成しているサービスを利用するだけだからです。
従来通り自社開発を行おうとすると、まずはハードウェアやミドルウェアなど色々なものを取り揃えなければなりません。この時間は非常に手間のかかる要素です。
また、コストも多額の費用を投じる必要があり、開発期間も長期に及んでしまいます。
時間と資金を合わせたコストは、自社開発のメリットを除いても会社にとってはかなりの痛手です。
しかし、SaaSを導入すれば初期投資は少なく済み、利用のための手続きはクラウド事業者と契約するだけなので短期間でサービスを利用することが可能になります。
セキュリティ面が安心
会社のデジタル情報化に伴ってセキュリティ面は非常に重要なポイントですが、SaaSはセキュリティ面においても安心です。
自社開発であれば、セキュリティ面については自社で管理する必要があります。万が一のトラブルがあれば、保守メンテナンスも全て自社で行わなければなりません。
しかし、SaaSのサービスは、クラウド事業者が運用・保守を行います。常に細心の注意をはらい、専門的な対策を行ってくれているので安心です。
また、セキュリティ対策をしてくれていることで、自社では保守・運用にコストをかける必要がないのでコスト削減にもつながります。
セキュリティ面におけるコストなどの自社負担は一切なく、それでいてきちんと安全な環境を整えてくれているので安心して利用できるのです。
SaaS導入で期待できること
SaaSのメリットは把握できましたが、導入することでどういったことができるのか展望を知ることも今後導入を検討するうえで必要になるでしょう。
SaaS導入で期待できることとして、まずは業務の効率化が見込めます。
従来とは違い、クラウド上にデータを保存してどこでもアクセスし利用できる環境となるので、大きな業務効率化が期待できるでしょう。
また、ストレージ容量の心配をする必要もなくなるので、グループウェアなどコミュニケーションを容易にしてくれる点も魅力です。
さらに、自由に利用者数を増減させることができるのでビジネスの変化に応じての運用にも期待できます。
従来の自社ソフトウェア運用の場合、サーバー利用者数を増やすにはまずサーバーリソースなどを増強させる必要がありました。
また、お試しで増やして必要なければ状況に応じて減らすといったような、ビジネスの変化に柔軟に対応して運用することはほぼ不可能です。
運用を切り替えるたびにコストが生じるため、従来の自社ソフトウェア運用は難しいものでした。
しかしSaaSであれば、契約内容を変更するだけでサーバーリソースの増強を可能とします。
必要なければ後からライセンスを減らすことも可能です。
さらに、一度に増強したことによる効果が不透明であれば、使用期間を設定する方法もあります。
使用期間中は一部社員で運用し、効果を見込める見通しがたてば全社へ展開するといったように、段階を踏んで利用することも可能です。
利用者数を自由に増減でき、工夫次第では効果的な運用と展望が期待できるので、SaaSは非常に大きな魅力をもちます。
SaaS導入までの流れ
SaaSの導入を本格的に検討するためにも、導入する手順についても押さえていきましょう。導入までの流れとしては、以下のような手順で行います。
- 事前準備
- ベンダーとの打ち合わせ
- 提案内容確認
- 試用期間
- 契約、運用開始
まず最初の手順としては事前準備が必要です。そのためには、運用担当者を決めましょう。
これをもとに企画や要件の整理を行い、自社の業務課題や今後の展望に対して対応できるかどうかを判断します。
対応できそうな製品がいくつか揃ったら、どれが最も効果を発揮してくれるかを比較検討しましょう。比較が終わったら、ベンダーとの打ち合わせを行います。
SaaSベンダーに問い合わせし、自社に必要となる機能や要件をきいてもらって、今後運用を可能とするか打ち合わせを行いましょう。
この時に、セキュリティ面の問題やサービスが自社の基準に見合っているかも確認しなければなりません。
ベンダーへ情報共有が終わると、ベンダーからの提案内容がもらえます。提案内容を確認し、提示した要件・要望・コスト・セキュリティ品質など条件と予算が満たしているかを確認しましょう。
合わせて、トライアルに踏み切るベンダーを絞り込むことも大切です。次のステップはいよいよトライアルになります。
トライアルには2週間から1カ月を想定しておきましょう。候補のベンダーから製品を受け取ったら、今後利用ユーザーに実際に利用してもらいます。
ここでは、業務要件や今後も利用を続けるかといった基準だけでなく、操作性などにも注目して評価しましょう。
トライアル期間が終われば、実際にこれから本格利用を行うベンダーを選び契約します。
契約を結んだ後は、導入スケジュールを計画しユーザーへの説明会を開くなど利用開始に向けて動きましょう。導入はこのような流れで進んでいきます。
SaaS導入例
SaaSが実際に導入されている事例についても把握していきましょう。
導入事例を押さえておけば、自社導入へのイメージや導入後の効果も想定することができます。
SaaS導入の代表的な事例としては、最も身近なものとしてoffice365が有名です。 office365は、インターネットを介してオンライン上でofficeソフトと同様のWordやExcelを使用できるサービスになります。
2010年頃まで主流だったのは、PCにインストールして使用するものでした。
家電量販店などでパッケージ製品を購入するか、あるいはオンライン上でダウンロードしてPCで使うことが求められるサービスだったのです。
それに対し、2011年以降に提供されたoffice365では毎月の定額料金を支払うことでパッケージ版と同様のツールを使えるサービスになっています。
インターネットにつなぐことができれば、PCやタブレットなど複数の端末での使用を可能とし、場所を問わず使える点が特徴です。
SaaSの代表的事例といえます。
SaaS導入前のポイント
具体的な導入事例などを把握し、SaaSの導入に向けて検討し始めた人も多いかもしれません。
しかし、本格的に導入を考えるのであれば、導入前にしっかりと吟味する必要があります。
ここでは、SaaS導入前に押さえておくべきポイントを紹介するので参考にしてください。
導入目的を明確にする
導入前には、まずは目的を明確にしましょう。
SaaS導入を行うことで社内ではどういった業務を効率化したいのか、あるいはアプリケーション開発に集中したいのかなど目的をはっきりさせる必要があります。
目的によっては、SaaSが適しておらずPaaSやIaaSが適切なケースもあるでしょう。
導入目的を明らかにして、SaaS導入で目的が達成されそうかどうかを明らかにしておく必要があります。
社内の課題を明確にする
目的同様に社内の課題を明確にすることも重要なポイントです。
社内の課題が明確にできていなければ、適切なシステムを選ぶことはできません。
また、SaaS導入後になって思っていたような結果と違うというような状況になっては、せっかくかけたコストが無駄になってしまいます。
SaaS導入前には社内の問題を洗い出し、何が課題なのかを明らかにしましょう。
運用ルールを決める
導入前には運用ルールをあらかじめ決めておくことも必要です。
運用ルールなどはシステムの導入後に決めたらよいと考える人もいますが、新たにシステムを導入した際には非常に多くの作業が発生します。
例えば設定や検証など、必要な作業が思わぬタイミングで発生するものです。
そのため、導入後に運用ルールを決めていては対応が遅れてしまいます。
導入までには、担当者・役割分担・専門のシステム担当にするのか兼業にするのかなど、ある程度のルールを決めておくことが重要です。
SaaS導入前の注意点
SaaS導入時にはいくつか注意点もあります。
これらを把握していないと思わぬトラブルを引き起こす可能性もあるので、しっかりと注意点について把握しておきましょう。
セキュリティの強度を確認する
ひとつ目の注意点としては、セキュリティ強度を確認することです。
クラウドサービスは、ベンダーがセキュリティについても保守・運用しています。
そのため、高いセキュリティ強度を誇るものが多いです。
しかし、それでも十分なセキュリティであるかはわかりません。
強固なセキュリティでなければ、個人情報などのデータの流出が起きてしまい会社の信用を一瞬でなくしてしまいます。
また、クラウドサービスのセキュリティ強度は十分でも、自社のセキュリティポリシーにマッチしているかが併せて重要です。
特定データへのアクセスが限られた人物しかできないなど、独自にセキュリティポリシーを設定していることもあります。
この条件にマッチしなければ、SaaSの運用は円滑なものにはなりにくいでしょう。
セキュリティポリシーと相性のいいSaaSであるかどうかも合わせて注意しておきましょう。
ランニングコストを把握する
SaaSを運用するにあたってのランニングコストを把握することも忘れてはいけません。
SaaSはサブスクリプション制度により毎月一定額を支払えば、非常に簡単に運用することが可能です。
しかし、大企業のグループ全社・全社員分の導入ともなれば、かなりのコストになります。
これが毎月なのでランニングコストは多大なものになるでしょう。
SaaSを運用するのであれば、必要最低限の社員分だけ運用するなどの方法もあります。
そのためにも、判断材料となるランニングコストはしっかりと把握しておきましょう。
機能の汎用性を確認する
機能の汎用性についても確認が必要です。
SaaSは低コストで簡単に導入できる点が特徴ですが、汎用性は比較的低い部類のサービスになります。
そのため、自社が必要とする機能が搭載されているかはもちろん、今後対応できるのかという汎用性の高さについても注目しておきましょう。
SaaS導入を検討しているなら
SaaSは、今では多くの企業で欠かせないクラウドサービスのひとつになっています。
しかし、導入前には自社の課題など確認すべき情報が沢山あります。
また、導入時の注意点を踏まえて、自社にあったサービスを選ぶ必要もあるでしょう。
とはいえ、SaaSの導入や運用については専門的知識がなければ、把握できない情報も沢山あります。
もし、SaaS導入を検討している方や、導入にあたって悩んでいるのであればSaaS導入のコンサルティング会社であるストラテジットに一度ご相談ください。
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SaaSを導入して企業の課題を解決しよう
SaaSは、企業の課題や今後の展望に大きく貢献できるクラウドサービスです。
しかし、その特徴や注意点を把握しなければ、数あるサービスの中から自社に最適なものを選ぶことは難しいでしょう。
導入に失敗し、利用を辞めてしまった会社も少なくはありません。
そのような失敗を起こさないためにも、ぜひ弊社に一度相談し、一緒になって最適なサービスを活用していきましょう。
SaaSは連携開発をすることで効果を発揮する
業務効率化を目的として、業務・部署別に複数のSaaSを導入する企業が増えています 。
しかし、それぞれのSaaS単体では、その効果を最大限に発揮することはできません。
SaaSは連携開発することで、よりその効果を発揮するのです。
SaaSに関する多くの悩み
SaaSは手軽に導入でき、業務効率化や働き方改革などへの効果が期待できます。
しかし一方で、SaaS導入によって業務間の連携・部署間の連携・データの統合・マスタのチェック等が滞り、かえって業務量が増えてしまうという課題も発生しています。
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