APIの作り方の手順は?APIの作成事例やノーコード作成の注意点もあわせて解説します
IT業界の人手不足は深刻なものがあります。2019年3月に公表された経済産業省の調査によると、2030年には最大で79万人もの人材が不足するという試算があるほどです。
しかしAPIやWeb APIを使えば複雑なプログラムを組まなくても、アプリケーションやWebサービスを開発することは可能になります。
プログラミングの高度な知識がなくても、Web APIについて理解しておけばビジネスに反映させることができるでしょう。
そこでこの記事では実際にAPIを作成する手順について解説しています。ノーコード作成の注意点も解説しているので、ぜひお役立てください。
目次
Web APIの特徴と種類
「API」とは「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)」の略称です。
インターフェイスとはデータの授受を行うプロトコルのことですが、APIはプログラムやアプリケーション、様々なWebサービスを繋ぐインターフェイスであるといえます。
つまりAPIを使うことにより既に存在するアプリケーションやソフトウェアを、そのまま活用することが可能となるわけです。
※APIの概要について詳しい説明はこちらのコラムをご覧ください。
それでは「Web API」とはどのようなものなのでしょうか。その特徴と種類について解説します。
特徴
「Web API」とは前項で述べたAPIの働きを「HTTP/HTTPS」といったWeb上で行うAPIのことです。
APIはプログラムやアプリケーションを繋ぐインターフェイスですが、大前提として同じプログラミング言語で組まれている必要があります。
しかしWeb APIはWeb上で機能するので、異なるプログラミング言語で組まれていても繋ぐことが可能です。
ブラウザでも利用できるなど、その汎用性の高さから活用されるシーンが拡大しています。 多くのWeb APIは無料で利用できる点も特徴といえるでしょう。
REST API
「REST API(RESTful API)」とはWeb上でプログラムやアプリケーション同士の通信を支援するインターフェイスです。
REST APIはシンプルで互換性が高いため、様々なデータの取り扱いやアプリケーションのやり取りに最適といえます。
現在ではWeb上のデータを取得する際に、もっとも広く使われるようになりました。
SOAP API
「SOAP API」とはマイクロソフト社が開発したアプリケーション同士の通信を支援するインターフェイスです。
2000年代までは主流だったのですが、ユーザーに対しサーバーとの対話について厳格なルールが定められていたり、扱うことが困難なXML形式に依存しているなどの欠点がありました。
これらの欠点を解消したのが2000年に提唱されたREST APIです。ですから現在ではWeb APIといえば、REST APIのことを指すという理解で構いません。
APIの作成事例
APIは多くの有名企業が作成し公開しています。代表的な作成事例を紹介しましょう。
「Google Calendar API」はGoogle カレンダーの各機能を利用できるAPIとして作成され公開されました。もちろん無料で利用できます。
また「Maps JavaScript API」はGoogleマップの機能が利用できるAPIとして作成され公開されていますがこちらは従量課金制です。
YouTube
YouTubeは「YouTube Data API」を作成し提供中です。この機能を利用すればサイトにYouTubeの動画を表示させることができます。
LINE
LINEは「Messaging API」を作成し提供中です。LINEのメッセージをコントロールすることが可能となりチャットボットを作成できます。
Amazon
Amazonは「Amazon MWS API」を作成し提供中です。こちらを利用すればAmazonマーケットプレイスに出品している商品の注文情報の確認や情報更新が行えるようになります。
また「Product Advertising API(PA-API)」はホームページやサイトで、Amazonアソシエイトに掲載しているアフィリエイトの売上データなどを管理するために作成されました。
APIの作り方の手順は?
APIを作成するに当たり最初に行うべきなのはユーザーを想定することです。前項で紹介した各企業が提供しているAPIは、どれもユーザーの利便性を上げることを目的としています。
ですからまずはユーザーの立場に立って有益な手段となるようなAPI作りを目指しましょう。それでは手順についてみていきます。
企画・準備
作成するAPIがユーザーに何を提供するのか明確にしましょう。それにはトレンドを知っておくことも必要です。
また他社が真似のできないサービスにすることも大切なので、自社が所有するデータを積極的に活用しましょう。
市場調査・戦略の立案
まずは自社の強みとは何かについて把握しておきましょう。必要であればSWOT分析などを用いてビジネス性を確認します。
実際にAPIを利用するユーザーについて想定することも大切です。 さらに将来を予測しておき、APIに載せる情報の交換頻度についても考えておきましょう。
API設計
API設計の際には適切なAPIのスタイルについて検討してください。メッセージ送受信型のAPIであれば、やや古いもののSOAP APIが適しているかもしれません。
自社リソースへのアクセス手段を用意したいのであればREST APIが適しています。 さらにAPIユーザーの管理とセキュリティについても検討が必要です。
また運用後の管理方法も考慮しておかねばなりません。
実行計画
プロジェクトチームを立ち上げましょう。チームの構成と構築プランの策定を行います。そして工数とスケジュールを見積もりましょう。
そのうえで運用までのロードマップを作成し、遅れが出ないようにチェックしていくことになります。
APIを作成する前に確認すべきポイント
APIを作成する前に確認すべきポイントは3つあります。まずはAPIを実装する理由を明確にしなければなりません。
また実装したAPIからどのような成果を得たいのかも確認しておきましょう。 また運用に際してAPIプログラムをどのように実行するかもチェックポイントです。それぞれ解説します。
APIを実装する理由
APIを実装する理由についてですが、これはAPIそのものに価値を求めると、見誤ることになります。
それよりもAPIを実装することで生まれる効果について考えましょう。 重要なのは自社におけるビジネスでありAPIそのものではないということです。
APIが重要となる場面は自社のもつ既存の価値へアクセスする方法を新たに提供するときです。 また通常はAPIから収益を上げることはできません。
従量課金制となっているAPIはそれ自体が商品である場合のみです。
実装したAPIからどのような成果を得たいのか
実装したAPIからどのような成果を得たいのか考えるときには、企業を内部と外部の両方向から見る必要があります。
内部から見ると企業が所有する価値のあるリソースがわかるでしょう。
そしてAPIを通してデータへのアクセスが出来るようになると、外部からそのリソースを活用することが可能になります。ここで初めて成果を得ることができるのです。
APIプログラムをどのように実行するか
APIプログラムをどのように実行するかは、APIをどのように設計するかに関わります。
まずAPIの構築にどのテクノロジーを用いるのかチョイスしなければなりません。 次にAPIをどのようなデザインにするのか決めることになります。
そして正しくデザインされたAPIであっても、保守や点検は欠かせません。APIプログラムの実行はこれらの諸課題を解決する必要があります。
API作成で活用される代表的なプログラミング言語
ここからはAPI作成で活用される代表的な3つのプログラミング言語を紹介しましょう。すなわち「Python」「JavaScript」「PHP」ですが、その特徴についてかいつまんで解説します。
Python
「Python(パイソン)」はインタープリタ型の高水準汎用プログラミング言語です。
1991年に最初にリリースされました。 オープンソースで運営されており、名前の由来はBBCで放送されていたコメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』にちなんでいます。
主な特徴は少ないコードで簡潔にプログラムを書けることと、専門的なライブラリが豊富にあることなどでしょう。
JavaScript
「JavaScript(ジャバスクリプト)」とはプログラミング言語の1つです。
JavaScriptの言語仕様はECMAScriptとして標準化されており、実装は各種のJavaScriptエンジンによって提供されます。
似たような名前のプログラミング言語に「Java」がありますが、両者は全く別のプログラミング言語です。
PHP
「PHP(ピー・エイチ・ピー)」は 「The PHP Group」によりコミュニティベースで開発されている、オープンソースの汎用プログラミング言語のことです。
サーバーサイドのスクリプト言語で他のプログラミング言語と比較して、仕様や文法が簡単なため習得しやすいといわれています。
またMySQLなどのデータベースとの連携が容易なことも特徴です。
専門的知識がない場合はノーコードの活用が便利
「ノーコード開発」とは前項で解説したプログラミング言語を使わずにアプリケーションを開発することです。
ノーコード開発を行うためのソフトウェアのことを「ノーコード開発プラットフォーム」と呼びます。
具体的にはGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を用いて、テンプレートを組み合わせていくことでプログラミングを行うため、プログラミング言語が不要になるということです。
視覚的に操作できるので、ノーコード開発プラットフォームの使い方がわかれば、短期間での開発が可能となるでしょう。
なお、ノーコード開発プラットフォームには様々なアプリ・ツールが提供されています。
「Shopify」・「Webflow」・「Adalo」・「Bubble」などですが、それぞれ得意なジャンルがあるので、使い道をはっきりさせてからチョイスしてください。
※ノーコードについて詳しい説明はこちらのコラムをご覧ください。
APIを作成する際の注意点
APIを作成する際には綺麗なAPIに仕上げることが重要です。 綺麗なAPIとは開発サイドから見て理解しやすく使いやすいという特徴を備えていて、提供サイドから見ると拡張性がありメンテナンスが容易であることが条件となります。
このようなAPIを作成するのはなかなか困難なことですが、5つのポイントに気を付ければ近づくことができるでしょう。
モデル型とアクション型
REST APIのURLを設計する際にはモデル型にするのかアクション型にするのか決めなければなりません。
モデル型とは「ユーザー」や「商品」を軸にしたもので、アクション型は「出席」や「購入」など行動を起こしたときを軸にします。
この両方を取り入れたいと考えがちですが、そうなるとわかりづらいURLとなってしまうので、どちらを採用するのか基準を作っておきましょう。
RESTfulの原則を守る
RESTとはRESTの4原則に沿ったシンプルな設計思想のことです。
4原則とは「統一インターフェース」「アドレス可能性」「接続性」「ステートレス性」のことで、これらの原則を踏まえたシステムを「RESTfulなシステム」といいます。
REST APIの作成においても「RESTfulなシステム」を目指す必要があるでしょう。
URIにバージョンを持たせない
APIのバージョンをURIに持たせないようにしましょう。バージョンアップをした際に、旧バージョンで動作するライブラリをコピーする必要が出てくるからです。
これではコードが煩雑になり管理が困難になります。バージョンはHTTPヘッダーやクエリストリングの中に持たせた方が無難です。
レスポンスにはHALなどを採用
JSONだけでは情報不足に陥る可能性があります。そこで「HAL」や「JSON API」などの採用を検討しましょう。
HALは追加のメタデータを付与することができ、JSON APIはJSONに情報を付与するフォーマットとなります。
ただし既存のAPIのレスポンス変更は容易ではないので、新規に制作する場合に採用を考えるようにしてください。
レスポンスボディはPOSTやPUTでも返す
APIに2回アクセスする必要があるとネットワークに負担がかかります。POSTやPUTで更新された情報をレスポンスに含めることでネットワークの負担を軽減することが可能です。
なおAPI開発については国内外にて50種類以上の連携開発実績を持つ当社に一度ご相談下さい。
こちらの無料相談窓口よりお問合せ下さい。
また、データ連携のお役立ち資料もご用意があります。ぜひお問合せ下さい。
API作成時のよくある悩み
API作成時のよくある悩みとして次のようなものが挙げられるでしょう。
- 何をどれだけ作るのか
- 誰と意思決定をすればいいのか
- セキュリティや認証はどうすればいいのか
- どのインフラを利用するのか
- 良質な資料が見当たらない
- 運用後が不安
- 最新情報は英語ばかり
これらに加えてアーキテクチャやプログラミング言語の選択をどうするか・拡張性はどこまで持たせるか・オープンにする場合その宣伝方法はどうするかなど、決めるべきことが山程あります。
APIの作り方で悩んでいるなら専門家へ相談
いざAPIを作ろうと思い立っても、前項で挙げた諸課題で悩んでいる企業は少なくないはずです。
そんなときには専門家に任せるという解決手段があります。
ストラテジットはAPI開発支援やSaaS連携開発の専門家です。
弊社にお任せいただければ、諸課題を解決し最適なAPI作りをサポートできます。
APIの作り方で悩んでいる方は、ぜひ弊社にご相談ください。
SaaSは連携開発をすることで効果を発揮する
業務効率化を目的として、業務・部署別に複数のSaaSを導入する企業が増えています 。
しかし、それぞれのSaaS単体では、その効果を最大限に発揮することはできません。 SaaSは連携開発することで、よりその効果を発揮するのです。
SaaSに関する多くの悩み
SaaSは手軽に導入でき、業務効率化や働き方改革などへの効果が期待できます。
しかし一方で、SaaS導入によって業務間の連携・部署間の連携・データの統合・マスタのチェック等が滞り、かえって業務量が増えてしまうという課題も発生しています。
- SaaSを導入したいけれど、「どの課題」に「どのツール」が最適かわからない
- SaaSを導入したものの、複数利用の影響で連携や効果的な運用ができていない
- SaaSを導入したものの、かえって業務量が増えてしまっている
このような悩みをお持ちの方は弊社にお任せください。
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SaaS連携開発やAPI開発支援でお困りの方へ
多くの企業で、1社あたり10程度のSaaSを利用しているといわれています。
それだけSaaSは多くの企業に必要とされていることがわかります。 しかし、複数のSaaSを利用することで情報の分断や多重入力といった問題が起こるリスクがあります。
業務の効率化を求めて導入したはずなのに、複数のSaaS利用によって新規導入や効果的な運用の足かせとなることがあるのです。
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