成功に導くERP入れ替えのポイント:効果的な基幹システム更新戦略
企業の成功は、その中核を成す基幹システムの能力に深く依存しています。これらのシステムは、組織全体の業務を支え、効率と成長の鍵を握るものです。しかし、なぜ基幹システムの入れ替えが必要なのでしょうか?
本コラムでは、基幹システムの入れ替えが必要になるケースと、基幹システムとしてERPを導入する際のポイントについて紹介します。
目次
基幹システムの入れ替えが必要になるケース
基幹システムの入れ替えが必要になるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
- サーバーやアプリケーションの保守切れが迫っている
- 属人的にメンテナンスを繰返しシステムがブラックボックス化した状況となり、担当者の退職等で継続利用が困難になる
- 業務を行う現場担当者から、現行システムへの不満の声が多くあがる
- IPOの実現に向け、経営管理体制や内部統制の整備が必要になる
- 全社的なDX推進プロジェクトが発足し、ITへの投資が決まる
これらの課題に対し、既存システムの改修、一部システムの入れ替えや業務プロセスの見直しで対応するケースもありますが、そのような対応だけでは改善が見込めない場合には、システムの入れ替えが必要になります。
比較的短期間で入れ替えすることができる上様々なメリットを享受できるため、新しいシステムにERPの導入を検討される企業は多いでしょう。自社でERPへの入れ替えを検討されている場合、ERPの導入が失敗に終わることも多いということも認識しておく必要があります。
次節では、基幹システムとしてERPを導入する際のポイントを記載します
ERPを導入する際のポイント
入れ替えで実現したいこと(目的)を整理する
基幹システムの入れ替えが必要と判断される場合、現行の業務に何らかの課題を抱えているはずです。システムの入れ替えによって何が実現されれば成功なのか、目的を整理しておくことは重要です。目的があいまいだと、あれもこれもと要求が出てきてカスタマイズやアドオン費用が膨大になり、場合によっては導入を停止せざるを得ないケースもあります。目的の達成とはあまり関連性のない要求は思い切って省いてしまったり、稼働後の改善プロジェクトにまわしたりすることも必要な取り組みでしょう。
業務プロセスをシステムに合わせる
上述のようにシステムの入れ替えの目的の達成を第一に考える必要はありますが、極力業務プロセスをERPの標準機能に合わせるFit To Standardの考え方も重要です。それにより結果的に業務の効率化につながったというケースも多くあります。
自社の体制を整えておく
ERPの導入をベンダー任せにせずに、自社の体制を整えておくようにしましょう。一般的にERP導入プロジェクトの中で自社側のタスクとしては以下のようなものがあり、相当な工数が必要になります。
- マスタ整備
- 移行データの整理
- ERPの機能理解
- ERP導入後の業務フロー整備
- 運用マニュアルの整備
- システム切り替えによる社内規定の見直し
専任担当を用意することが望ましいのですが、通常業務と兼任する場合であってもプロジェクトの業務を優先できるような体制を組む必要があります。
各部署のキーマンを巻き込む
ERP利用範囲の部署のキーマンは早めにプロジェクトに巻き込むようにしておきましょう。各部署のキーマンはプロジェクトの体制に含めるのが理想ですが、通常業務の関係でそれが難しかった場合でも随時プロジェクト状況や決定した内容を共有するように心がけてください。
共有を怠った結果、稼働直前でひっくり返されてしまうケースも多くあります。
他社事例を参考にする
ERPの標準機能に合わせることがどうしても難しい業務については、ベンダーに他社事例を確認するとよいでしょう。ベンダーの導入担当は、これまで多くの企業の導入を行ってきているはずなので、他社の運用事例も豊富に持っています。他社の運用事例を確認することで、自社の運用の効率化につながるケースもあります。
移行データの粒度を細かくしすぎない
ERPの稼働月より前のデータについては、通常稼働前までにデータ移行を行うことによって反映することになりますが、取引明細レベルでの移行等、移行データの粒度を細かくしすぎると、データの準備が大変になり、その他の作業がおろそかになってしまうことが懸念されます。
過去データは、新たに導入するERPでは月別、部門別、取引先別程度の集計金額のみを確認できるようにしておき、取引明細の確認が必要であれば、旧システムで確認するか、旧システムからファイルをエクスポートしておいたファイルを参照するだけで十分であることがほとんどです。
移行データの準備に多大な時間をかけるよりも、業務フローや運用マニュアルの整備に時間をかけたほうがよいでしょう。
まとめ
基幹システムの入れ替えが必要になるケースは様々ありますが、入れ替え対象のシステムにERPを選択するか否かに関わらず、入れ替えを行う際は事前に綿密な計画を立てて臨むようにしてください。
基幹システムにERPを導入する際は、ここで紹介した導入のポイントを少しでも参考にしていただければ幸いです。
ERPシステムの入れ替えは、ただ技術を更新するだけではなく、企業の未来を形作る決定的なステップです。本コラムで紹介した各ポイントは、ERPの導入を成功に導くための基盤となります。入れ替えの目的を明確にし、業務プロセスを適切に整理し、部門間の協力を促進することで、スムーズな移行と効果的なシステム運用が可能になります。
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