ERP導入の完全ガイド:選び方のポイント|ERP導入コンサルタントが徹底解説!

企業の成長と競争力向上を考える上で、ERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入は重要なステップです。

しかし、ERPソフトウェア市場は広範で多くの選択肢が存在するため、「どのように選べばいいかわからない」といったお悩みはないでしょうか。

このコラムでは、ERPの基本から、選定プロセスの重要性、業務適合性の考え方まで、弊社のERP導入コンサルタント監修のもと一つ一つ解説していきます。

ERP導入の完全ガイド。ERP導入コンサルタントが徹底解説

ERPとは?

ERP(Enterprise Resource Planning)は、組織や企業がさまざまな業務領域(財務、会計、人事、調達、生産、在庫管理など)にわたる情報とプロセスを一元化し、効率的に管理するための統合型ソフトウェアシステムです。

ERP導入のメリット

ERPは多大な業務領域をカバーしているため、導入によるメリットが多々存在します。

例えば、

  • リアルタイムの情報を得られる
  • 業務プロセスの自動化により作業時間の削減が可能
  • 組織の意思決定プロセスを改善できる
  • 経営陣があらゆるデータにアクセスできるため、経営判断のスピードが上がる
  • 内部統制の強化

などが挙げられます。

ERP選定プロセスの重要性

ERP導入プロジェクトは、上述のとおり広い業務領域がスコープとなるため、失敗するリスクが高いプロジェクトと言われています。
さらに、失敗したときの影響範囲が広いため、自社の業務に多大な悪影響を及ぼしてしまうケースもあります。

ERP導入が失敗するケースの多くはERPの選定を誤っていることに起因しています。

ERPは、紹介資料や機能一覧では同じように見えても製品ごとにそれぞれ特徴があり、ターゲットとする企業の規模や得意とする領域などが異なります。

有名だから、他社も使っているから、なんとなく自社の業務に合っていそう、といった理由だけで選んでしまうと失敗につながるため、ERP選定プロセスでシステムに対する要求事項や必要機能を明確にして、自社の要求に合致する製品を選定することが重要です。

自社に最適なERPの選び方

①ERP選定のポイント

業務適合性

業務適合性の高さはERPを選定するにあたって最も重要なポイントと言えます。

自社業務の中でERPで行いたいことがERPの標準機能でできるかを評価します。
また、「ERPで行いたいこと」をMUST、WANT等で重みづけして評価することも重要です。ERPと自社業務との適合性が低い場合、望む目的を達成できません。
また、カスタマイズ費用が増加したり、自社業務に合わせるための追加機能開発(アドオン開発)費用が発生したりして、当初の予算を大きく超えてしまうケースもあります。

カスタマイズ性、拡張性

基本的に、カスタマイズ性や拡張性が高いものを選びましょう。
ERPは企業によって求める要件がさまざまなため、カスタマイズ性が高い方が要件を満たしやすいことがあります。またカスタマイズ性が高いことで、組織改編や事業拡大にも対応しやすくなるでしょう。
拡張性の高さは、将来的にデータ量や通信量の増加が見込まれる場合などに有効です。主にクラウド型のERPは、データ量や通信量に合わせてサーバーのスペックを増減させることが可能となっています。
拡張性の高いERPを選択することで、運用時の負荷やコストを軽減することが可能です。

ターゲット企業の規模・業態

ターゲットとする企業の規模や業態が自社にマッチしているかどうかをチェックしましょう。当然、大企業と中小企業では導入すべき製品が異なります。

また、導入事例として自社と同じ業態の会社が多く紹介されているかをチェックすることも有益です。そのシステムがどのような企業をターゲットにしているのかを、選定の段階でしっかりと確認しておきましょう。

サポートの充実

ERPは広範囲に利用するシステムであるため、利用するなかで様々なトラブルが発生するおそれがあります。そのため、サポート体制が充実しているかも確認しておきましょう。
特に、初めてERPを導入する企業や、エンジニアが不足している企業の場合は、国内のサポートが充実しているERPを選ぶことがおすすめです。

具体的には、以下の点を確認します。

  • 問合せ手段(電話・メール・オンラインなど)
  • サポート時間(緊急時の営業時間外の対応についても合わせて確認)
  • 製品の説明、操作方法などの資料や動画があるか
  • サポート料金
  • サポートの充実

導入実績

導入実績が十分にあるかを確認しておくことも重要です。導入実績が少ないERPの場合、機能が充実しているように見えても現実的に使える機能がほとんどなかった、機能にバグだらけだった、ということになる可能性もあります。

また、日本市場での導入実績についても留意が必要です。ERPの対象となる業務では、国ごとの商習慣や法制度への対応が必須になります。
日本で発売して間もない製品では、日本市場への対応が不十分なこともあり得るため、日本における導入実績は必ず確認するようにしましょう。

環境(クラウド or オンプレミス)

ERP導入にあたり、オンプレミスERPとクラウドERPという2つの選択肢があります。

オンプレミス型は、自社のサーバーにシステムをインストールして使用する方式です。

一方、クラウド型は、専用のサーバーを持たずに、インターネット経由でシステムを使用する方式です。

自社のセキュリティ要件が高く、自社のサーバー上でデータを管理したい場合などはオンプレミス型を選択することになりますが、クラウド型ではシステム環境を構築する必要がないので初期コストが抑えられる上、運用管理業務も効率化できるメリットがあります。

②ERP選定の流れ

それではERP選定の流れを時系列にみていきましょう。

1.プロジェクトの立上げ

まず最初にERP導入に向けた社内のプロジェクトを立ち上げます。「業務改善プロジェクト」や「新システム構築プロジェクト」などの名称で社内の各部署からキーマンを集めてプロジェクトを立ち上げるのが一般的でしょう。ここでの重要な点は、トップがプロジェクトの重要性と権限を明確に示すことです。

キーマンは各現場で重要な仕事をしているため常に忙しいことが多いのですが、キーマン不在のプロジェクトではよい計画は立てられず、ずるずると時間ばかり経過してしまう恐れがあります。プロジェクトリーダーに権限を与え、キーマンに対して日々の業務よりプロジェクトを優先するように指示できるようにしましょう。

2.目的の明確化

ERPを導入する軸となる目的を明確にしましょう。 例えば、管理コストの削減、現場の生産性向上、DXの推進など、ERPの選定では特に何をやりたいのかを見定める必要があります。

なぜなら、ERPがカバーする業務範囲が広く選定に関わる人が多いため、選定を進める中で、当初やろうとしていたことがぶれてしまう傾向にあるためです。

各部署の要求を全て取り入れようとしたあげく、本当に実現したかったことが実現できない、以前よりも使いにくくなった、といった事態に陥るケースも多いです。そうならないためにも、選定の軸となる目的を固めてそれを実現していくという視点で、検討を進めていきましょう。

3.適用範囲と要求事項の整理

目的を明確にした後は、ERPの適用範囲と要求事項を整理しましょう。

以下の流れで進めます。

  • 現行業務とその課題、対応方針の洗い出し
  • 課題とその対応方針を考慮したあるべき業務の姿の検討
  • ERPの適用範囲と要求事項の整理

ここでは要求事項を盛り込みすぎないことに注意してください。目的と照らし合わせ、要求事項に含めるべきかをしっかり検討しましょう。重要な業務についてはTo-Beの業務フローも作成しておくことをおすすめします。

4.RFPの作成

自社の要求事項を取りまとめたら、システムベンダーに提案を依頼するための文書を作成します。この文書を「RFP(Request For Proposal:提案依頼書)」と呼びます。

RFPには、以下のような項目を記載します。

  • プロジェクトの背景、目的
  • 対象範囲(業務領域、組織)
  • 現状の課題と対応方針
  • 機能に関する要求事項
  • ITインフラ・セキュリティに関する要求事項
  • 導入スケジュール
  • プロジェクト体制
  • 提案依頼事項
  • 提案スケジュール・窓口

RFPの記載事項で最も重要なのは、「機能に関する要求事項」の部分です。

プロジェクトが完了した時点で実現したい業務の姿、そのために必要なシステム機能を記載します。

ベンダーは、RFPに記載された要求事項から、提案するERP製品が適合する部分、追加で開発が必要な部分を識別し、見積金額に反映します。

5.製品とベンダーの選定

まずは、候補となるERPとRFPを提示するベンダーを抽出します。

ERPについては、Webサイトで情報収集します。(必要に応じてコンサルタントにアドバイスをもらう方法もあります。)候補のERPを選択したら、導入を手掛けているベンダーを探します。
※RFPを提示するベンダーの数は5~10社程度が一般的です。

ベンダーにRFP提示後、2週間~1ヶ月程度の期間で提案書を作成・提出してもらい、各ベンダーの提案内容を評価します。
提案内容は、上述の「①ERP選定のポイント」で記載した内容に加え、ベンダーの体制、実績も含めて評価するとよいでしょう。評価表を作成して、各社の評価をスコアリングするようにしてください。

提案書の評価で3社程度に絞り込み、残ったベンダーに対して製品デモとプレゼンテーションによる評価を行うなど、段階的に選定を進める方法が一般的です。

おわりに

今回、ERPの選び方のポイントについて説明しました。ERPは、企業の基幹業務の大半をカバーするゆえに、製品選定後の導入においても注意すべき点が多くあります。ただし、導入が成功した際には他のシステムに比べて多くのベネフィットを享受できるでしょう。

導入をベンダー任せにするのではなく、自社の体制もしっかりと整えた上でプロジェクトを遂行することが不可欠となります。

本コラムがその過程を確実にサポートする貴重なリソースとなれば幸いです。

 

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この記事を書いた人

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