NetSuiteのカスタマイズ性

ERPシステムにおけるカスタマイズの重要性

ERPシステムは、会計・販売・購買などといった様々な業務プロセスやそれらに関連する情報を統合・管理することが要求されています。その導入効果は、現場業務とシステムがどれだけ親和するかに依存しています。そのため変化するビジネス環境において、ERPシステムが業務に合わせてカスタマイズできる柔軟性を持っていることは非常に重要と言えます。NetSuiteが持つカスタマイズ性は、企業が自社の要件に合わせてシステムをカスタマイズすることを可能にし、業務効率の向上・競争優位性の獲得に寄与します。

NetSuiteでは標準機能・カスタマイズされた機能は共に統合されたデータモデルによって支えられております。そのためカスタマイズ機能が一貫性のあるデータ基盤上で動作することとなり、カスタマイズ機能の開発と既存環境への統合が容易になります。これらによりデータの重複や不整合が減少し、より信頼性の高いカスタマイズ機能の実現が可能となります。

本コラムでは、NetSuiteのカスタマイズツールについてご紹介します。

NetSuiteのカスタマイズツールと機能

NetSuiteでは、コーディングをせずに機能拡張を実現できるカスタマイズツールが多く存在します。主なものとして以下があります。

SuiteBuilder:画面操作によるフォーム・画面項目等のカスタマイズ

以下のカスタマイズをコーディングを行うことなく、画面操作のみで実現することができます。

  • フォームのカスタマイズ
  • カスタムフィールドとカスタムレコードの作成
  • カスタムセンター(カスタムメニュー)とロールの定義

SuiteFlow:ワークフローの自動化

企業固有の内部承認フローを画面操作によりシステム化することができます。

    SuiteTalk:API連携

    NetSuiteでは標準でAPIの提供があり、それらを利用することで企業内データ基盤として中心的な役割を果たすことができます。

    またカスタマイズ開発により独自のエンドポイントの作成も可能です。

    SuiteApps:マーケットプレイスによる機能拡張

    SuiteApp Marketplaceにて、既存のNetSuiteの拡張機能を検索・利用することができます。

    自社で開発せずとも、既存の拡張機能を利用することにより、コスト・時間を削減できます。

    レポーティング機能

    NetSuiteのレポーティング機能は主にレポートと保存検索の2つが挙げられます。これらは標準機能としても提供されますが、各企業の個別要件に従いカスタマイズすることが可能です。

    レポート

    NetSuiteには、財務会計(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書など)・販売・購買・在庫・など、各業務領域に対応した標準レポートが事前に用意されています。

    これらの標準レポートをベースに、表示する項目(列)・並び順・グループ化・フィルタ条件などを自由に変更して、自社のニーズに合わせたカスタムレポートを作成できます。計算式を追加して、独自の指標をレポートに含めることもできます。

    保存検索

    保存検索は、NetSuiteのデータを柔軟に抽出し、リスト形式で表示する機能です。レポートと同様に標準機能として幾つか提供されています。

    レポートよりもさらに細かい条件設定や関連レコードの情報を柔軟に表示させることが得意です。また定期的にメール送信を行ったり、CSVでエクスポートができたりします。

    SuiteScriptによる高度なカスタマイズ

    SuiteScriptを利用することにより、より詳細な要件に対応した独自の拡張機能の作成が可能となります。

    SuiteScriptは、NetSuite独自のJavaScriptベースのスクリプトプラットフォームです。複数種類のスクリプト種別が用意され、用途に応じて使い分けることができます。

    主なスクリプト種別は以下の通りです。

    クライアントスクリプト

    クライアントスクリプトはユーザーのWebブラウザー内で実行され、主にNetSuite画面の使いやすさを向上させるために使用されます。

    サーバーサイドスクリプト

    サーバーサイドスクリプトはNetSuiteのサーバー上で実行され、バックエンドのビジネスロジック・データ処理および複雑な自動化タスクを実装可能です。

    目的別に以下の種類のサーバーサイドスクリプトが提供されています。

    ■ ユーザーイベントスクリプト:

    NetSuite内のレコードに対して実行される特定のアクション(レコードの作成、読み込み、更新、コピー、削除、送信など)によってトリガーされます。これらは、独自データバリデーションの実装、独自ビジネスロジックの適用等によく使用されます。

    ■ 定期スクリプト:
    定義済みのスケジュールでデータの一括更新などの定期的なバッチ処理タスクを自動化することができます。

    ■ Suitelet:
    Suiteletを利用することにより、開発者はNetSuiteフレームワーク内でカスタムのWebページとバックエンドロジックを作成できます。これらは、HTTP GETおよびPOSTリクエストに応答するリクエスト-レスポンスモデルで動作し、スタンドアロンアプリケーションを構築するために使用できます。

    ■ RESTlet:
    RESTletを利用することにより、独自のエンドポイントを作成し外部アプリケーションからREST API経由のデータ操作を可能とします。RESTletは、標準のHTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETE)で動作します。

    ■ Map/Reduceスクリプト: 

    Map/Reduceスクリプトは、タスクを並行処理できるよう独立した単位に分割することにより、大量のデータを効率的に処理するように設計されています。これにより複雑な処理を伴うデータ更新、一括インポート/エクスポート、およびその他の大量のバッチ処理操作の実装ができます。

    NetSuiteのカスタマイズを採用することの利点

    NetSuiteのカスタマイズを採用することで、効率化と自動化の向上、レポート作成と分析機能の強化、競争優位性の獲得、ユーザーの利用促進、将来的なスケーラビリティの確保、そして他のシステムとのシームレスな連携といった多岐にわたる利点を得られます。

     

    シェアする

    アバター画像

    この記事を書いた人

    株式会社ストラテジット