NetSuiteをアドオン開発せず導入するべき5つの理由
NetSuiteは高い柔軟性を持つクラウドERPとして、多種多様な業務ニーズに対応可能な仕組みを備えています。その柔軟性を支える大きな柱が「アドオン開発」と「カスタマイズ」です。しかし、この2つの違いは混同されがちであり、目的や運用方針に応じて正しく使い分けることが、NetSuite導入・運用の成否を分ける"鍵"となります。
本記事では、「アドオン開発」と「カスタマイズ」のそれぞれの特徴と違いをわかりやすく整理し、アドオン開発を行わずに導入するべき理由やメリットについて解説します。
目次
「アドオン開発」と「カスタマイズ」の違いとは
「アドオン開発」とは
アドオン開発とは、NetSuiteの標準機能を拡張する独自アプリケーションを開発する手法で、主に SuiteScript を使用して開発を行います。
※SuiteScriptとは?
— JavaScriptベースのNetSuite専用スクリプト言語のこと
アドオン開発を行うケースは様々ありますが、例えば以下のようなシーンが当てはまります。
・レコードの作成・更新・削除などのデータ操作
・UI(画面)制御や、トリガーベースの自動処理
・RESTletやMap/Reduceを使った外部連携や大量処理
アドオン開発のメリットは、業務に合わせて柔軟かつ高度な制御が可能な点や、独立したアプリケーションのように他のアカウントでも再利用が可能な点が挙げられます。
しかし、開発・保守を行うには知見のある技術者によるプログラミングが必要となるといった注意点もあります。
「カスタマイズ」とは
カスタマイズとは、NetSuiteに標準搭載されているGUIベースの設定機能で業務要件を満たす方法のことを指します。
この機能を利用すると、ノーコードあるいはローコードで自社の要件にマッチした仕様に近づけることができます。
カスタマイズで対応することが可能な要件は、主に以下のようなものがあります。
・SuiteFlow:承認プロセスや通知など、ワークフローの自動化を行う
・保存検索:条件付きのデータ抽出やレポート作成を行う
・フィールド追加:カスタムフィールド・カスタムフォームの設定を行う
・帳票テンプレート:インボイスや見積書などのPDF帳票レイアウトの変更を行う
カスタマイズは、対応できる要件に限りがあることを念頭に置く必要はありますが、業務担当者(プログラミング知識の少ない方)でも設定可能な範囲が広く、導入ハードルが低い点がメリットとなります。
また、アップグレード時の影響が少なく保守性が高い点も、システム導入において重要なポイントです。
ERPを導入する際、しばしば "アドオン開発ありき" で検討されがちですが、前述の通りNetSuiteは標準のカスタマイズ機能が非常に充実しており、アドオン開発せずとも十分に業務を網羅できるクラウドERPであると言えます。
アドオン開発をせずに導入するべき5つの理由
次に、アドオン開発をせずに導入するべき理由やメリットを、5つの視点からご説明します。
標準機能が充実しており、追加開発が不要
NetSuiteはクラウドERPとして、多くの業務プロセスをカバーする標準機能を備えています。
- 財務会計管理:多通貨・多拠点対応、経費管理、財務レポート機能を標準装備
- 在庫・購買管理:リアルタイムで在庫状況を管理し、購買プロセスを最適化
- CRM・SFA(営業支援):顧客管理、マーケティング機能を搭載
- プロジェクト管理:業務タスクの進捗管理やリソース割り当てを標準機能で実現
アドオン開発を行わずとも、これらの機能を活用することで、企業の主要な業務を十分にカバーできます。
コスト削減が可能
アドオン開発を行うと、以下のような追加コストが発生します。
- 開発コスト:独自のアドオン開発を行うための開発費用
- 保守・アップグレードコスト:アドオン開発した機能がアップデートし影響を受ける場合に発生する作業費用
- 運用コスト:複雑な設定が増えることで、社内の運用コスト(負荷)が増加
標準機能だけで運用することで、これらのコストを削減し、導入・運用コストを最小限に抑えることができます。
シンプルな運用で業務を効率化
アドオン開発で導入すると、システムが複雑化し、以下のようなデメリットが生じます。
- トレーニングコストの増加:独自機能の習得が必要
- 業務プロセスの混乱:アドオン機能が標準機能との連携に支障をきたす可能性がある
- システム障害時の対応が難しい:標準機能ならNetSuiteのサポートが適用できるが、アドオン開発部分は対象外になることが多い
標準機能の範囲内で業務を最適化することで、シンプルな運用を実現し、業務の効率化につなげることができます。
バージョンアップの影響を最小限に抑えられる
NetSuiteは定期的にバージョンアップを行い、新機能の追加やパフォーマンス改善を実施しています。
標準機能のみを使用する場合であるとアップデートの影響を受けにくく、自動で最新の機能を活用することが可能です。
しかしアドオン開発を行っている場合、新しいバージョンとの互換性を確保するために追加の調整やテストが必要となります。
標準機能を活用することで、バージョンアップの影響を最小限に抑え、スムーズなシステム運用を維持できます。
短期間での導入が可能
NetSuiteをアドオン開発なしで導入することで、プロジェクトのスピードを大幅に向上させることができます。
- アドオン開発導入には時間がかかる:要件定義、開発、テストが必要。
- 標準機能のみなら設定だけで運用開始可能。
- 業務プロセスの見直しが不要:システムに合わせて業務を標準化しやすくなる。
結果として、導入期間が短縮され、システムの早期稼働が可能になります。
まとめ
NetSuiteは、標準機能だけで多くの企業の業務を十分にカバーできる高機能なクラウドERPです。
- アドオン開発なしでも十分な機能を提供
- コストを抑えながら、シンプルな運用を実現
- 短期間での導入が可能
これらのメリットから、NetSuiteの導入を検討する際は、まず標準機能を最大限活用することをおすすめします。
おわりに
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