2025年04月28日

NetSuiteによる内部統制の実現～初級編～

企業経営において、内部統制は不正防止・業務の有効性・財務報告の信頼性を支える基盤であり、特に上場企業や上場を目指す企業は、より厳しい統制整備が求められます。

そのような中でクラウドERP「NetSuite」は、システム的な内部統制強化を実現するための有力な選択肢となります。本記事は、初級編として内部統制における基本要素と、それに対応するNetSuiteの主要機能を対比しながら解説します。

1 内部統制とは何か？
- 1.1 内部統制とは
- 1.2 J-SOX法（Japan's Sarbanes-Oxley Act）とは
2 内部統制の基本要素とNetSuiteによる対応
3 まとめ
4 おわりに

内部統制とは何か？

内部統制とは

内部統制とは、企業や組織が経営目標を効果的・効率的に達成するため、組織内に設けるルール・手続き・仕組みのことです。

リスクをコントロールし業務の"透明性"や"信頼性"を高めることは、ビジネスを拡大していく上で避けては通れないものであり、ビジネスが大きくなればなるほど重要視されます。特に上場企業においては内部統制に関する報告書の提出も義務付けられているため、内部統制要件に対応したシステムなどを上手く活用していく必要があります。

J-SOX法（Japan's Sarbanes-Oxley Act）とは

上場を目指すための内部統制を検討していくにあたり、まず知っておかなければならない法律が、この「J-SOX法」です。

J-SOX法は、アメリカのSOX法（サーベンス・オクスリー法）をモデルに、日本でも企業の財務報告の信頼性を確保するために導入されました。日本版SOX法とも呼ばれ、「金融商品取引法」に基づく内部統制報告制度のことを指します。

主な目的は以下のようなことが挙げられます。

財務報告に関する不正やミスの防止
投資家や市場からにおける信頼性の確保
企業のガバナンス（統治）の強化
経営トップの説明責任を明確化

内部統制の基本要素とNetSuiteによる対応

冒頭でご説明した通り、NetSuiteには内部統制を強化するための対応機能がしっかりと備わっています。本項では、内部統制における基本的な4つの要素と、それらに対するNetSuiteの機能を説明します。

統制環境の整備

内部統制の基礎は、企業文化やガバナンス体制の整備です。

NetSuiteでは、ロールベースのダッシュボードにより、部門・役職ごとに最適化された情報を提示し、役割に応じた業務遂行を促進します。これにより、経営層から現場まで、統一された統制意識の醸成が可能です。

リスク評価と対応

リスクの把握とそれに対する統制活動の設計が求められます。

NetSuiteは、リアルタイムのレポーティング・分析機能を通じて異常値や業績変動を即座に把握でき、リスク兆候の早期発見と対処が可能です。さらに、監査ログやアラート機能により不審な操作や取引を即時に検知できます。

統制活動の実行

職務分掌や承認プロセスといった具体的な統制活動が必要です。

NetSuiteでは、ワークフロー機能により、稟議・承認フローを自動化し、アクセス権限の細分化によって、役割ごとに業務範囲を制限可能です。例えば、購買依頼と支払承認を別担当者に分けることで、牽制機能を確保します。

情報と伝達・モニタリング

統制活動の有効性は継続的な監視と改善によって保たれます。

NetSuiteは、ダッシュボード、KPIモニター、カスタムレポートを活用し、業務の可視化とパフォーマンス管理を支援します。加えて、内部監査向けの監査証跡管理機能により、変更履歴や操作記録を簡単に追跡できます。

まとめ

ここまで内部統制の基本的な要素とNetSuiteによる対応についてご説明しました。内部統制が重要視される理由や、NetSuiteによる実現方法についてご理解いただけたでしょうか。

もしかすると、「内部統制のためのシステム導入だなんて大袈裟な・・・」と思われている方もいらっしゃるかも知れません。ですが、いざ自社が上場を目指そうと考えた時に、利用しているシステムが内部統制の図れないものだった場合、新たなシステムの導入検討が必要不可欠になります。
当社がNetSuiteの導入支援を行う中で、上場を目標にNetSuiteを導入される企業様が多く存在するように、先を見据えたシステム検討は非常に重要であると言えるでしょう。