「ノーコード」とは?ローコードとの違い・メリット・具体例10選|SaaS連携の専門家が分かりやすく解説!
プログラミングの知識がなくともWebアプリ等の開発が行える「ノーコード」。
非エンジニアであっても開発が行えるとして、DX化推進の影響も後押しし、大きな注目を集めています。
本コラムではノーコードの概要、ローコードとの違い、メリット・注意点からノーコード開発ツール10選の特徴についても解説します。
目次
ノーコード(開発)とは
コーディングせずとも開発が行えるサービスを総称して「ノーコード(No Code)」と呼びます。
近年耳にする「iPaaS」もノーコードの一部といえます。
▼iPaaSの詳細についてはこちらのコラムをご覧ください。
HP作成やアプリ開発は、通常であれば必要なプログラミング言語の習得が必要です。
ノーコードは直感的に操作できるものが多く、一般的に習得までにさほど時間がかからないため
開発者でなくとも気軽に自分の作りたいサービスを開発することができます。
ローコードとは
最小限のコーディングで開発が行えるサービスを総称して「ローコード(Low Code)」と呼びます。
ノーコードとローコードの違い
ノーコードではプログラミングを行うことなく開発が行えます。
対して、ローコードはその名の通りコーディングを最小限に抑えているにとどまり、一部ではコーディング作業が必要になることがあります。
開発者以外のユーザーにとってはノーコードが使いやすく感じられますが、拡張性の点ではローコードに軍配が上がります。
ノーコードの場合、提供されるツールの機能を上回るものを作ることはできません。
ローコードであれば、汎用的な部分は機能をそのまま使用したうえで、不足分はアドオン開発を行うといった臨機応変な動きが可能になります。
どの程度の拡張性を持って開発を行いたいのかによって選定すると良いでしょう。
なぜノーコードが注目されているのか
実はノーコードの概念は非常に広義です。
WordPressやWixなどのWebサイトを筆頭に、ノーコードで開発できるサービスは昔から多く存在していました。
しかし「ノーコード」というワードが広く知られるようになったのはここ数年のことです。
その背景にはいくつかの要因があります。
クラウドサービスの普及
ノーコードは基本的にクラウド上で利用するサブスクリプション型です。
SaaSやPaaSを初めとするクラウドサービスが普及し、すべて自社の所有からリソースを割く従来のオンプレ型から
必要なときに」「必要な機能だけ」利用するクラウド型が一般的となりました。
今では1社あたりのSaaS利用数は8.7個と言われています。
▼SaaSの詳細についてはこちらのコラムをご覧ください。
クラウドサービスのほとんどがサブスクリプション型の請求手法となっており、サービスの利用方法のみならず、
初期費用を抑えられるといったコスト面のメリットも大きいため、ユーザーに広く受け入れられていったと考えられます。
ノーコードサービスの進化
旧来のノーコードは主にフロント(直接ユーザーの目に触れる部分 ※HTML、CSSなど)を対象としていましたが、
今ではフロントエンドだけではなく、バックエンドも開発できるサービスが現れました。
データベースそのものやデータベースとの接続インターフェースもバックエンドに含まれますが、今ではこれらも開発できるノーコードツールが多く存在します。
機能面だけではなくデザイン面での進化も目ざましく、クオリティの高いテンプレートが用意されていたり、かなり詳細にカスタマイズできるものもあります。
備わったツールを上手く使いこなすことによってプロクオリティレベルのUI/UXに近づけることも可能なため、コンバージョン率を上げることにも繋がるでしょう。
またSaaSと同様に他のツールの連携が充実したサービスも増えており、ユーザーのニーズに答える企業側の努力が垣間見えます。
IT人材の不足
IT業界は慢性的に人材が不足しており、2030年には45万人ものIT人材が不足するという予想があります。
国内の労働人口減少に伴い人材不足を実感する企業が増えてきたように感じます。
例えば、イチからWebサイトを作成するにはコーディング作業が伴うため本来はHTML、CSS、JavaScriptの知識が必須となりますが
ノーコードではコーディング不要なため、開発者以外の方でも習得がしやすくなっています。
コーディング以外でもWebデザインの知識が必要ですが、前述した通り一部のノーコードツールにはデザインテンプレートが用意されているため、
それを利用することである程度は補えます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
DXは長らく国内のトレンドとなっており、総務省も自治体DXの推進を掲げています。
実際に、2020年に加古川市の市役所職員が「特別定額給付金Web申請システム」をノーコードツールを使って一週間程度で開発したとして大きな話題となりました。
国内外問わずノーコードでの成功事例が見られるようになり、DXにも活用できそうだという期待感が高まっています。
ノーコード(ローコード)で出来ること
アプリ開発・Webサイト作成がベースですが、データベースの管理やWebスクレイピング、運用後のSEOも行えるサービスもあり
ノーコードで解決できる範囲はサービスによりさまざまです。
デザイン性の高いテンプレートも用意されており、UIの観点でも十分なクオリティが実現できるものもあります。
コーディングで実現可能なことすべてをノーコードで実現するのは難しく、ノーコードで実現する必要もありません。
開発したいアプリを要件(目的・規模・ターゲット・アクセス数)に応じてノーコードで賄えるものならノーコードで、
基本はコーディングなしに加えてカスタマイズ可能な箇所はスクリプトで記述するのであればローコードも視野に入れて良いでしょう。
汎用的でない機能はノーコードで実現できない可能性が高いため、独自の機能をもったアプリを開発するのであれば、一からコーディングした方が早く済む可能性さえあります。
ノーコードのメリット・注意点
メリット
プログラミングの知識が不要
ノーコードのサービスは直感的に操作できるものが多く、プログラミング知識がなくとも開発を行うことができます。
まさにノーコードの特徴そのものがメリットです。
一からコーディングして開発する場合は、プログラミングの前段階としてローカルの環境構築から始めねばなりませんが、初心者であれば環境構築の段階で半日程度は要します。
今でこそIDE(統合開発環境)や便利なプラグインが普及し、コーディングの手間は減りましたが、アプリ開発はコーディング以外にも必要な作業・知識が多々あります。
個人事業主やスタートアップといったアイデアはあるが人員・スキルが足りない場合に、アイデア先行でアプリを開発することができます。
カスタマイズも容易に行えるので、とりあえず開発してみる!が可能なハードルの低さが魅力です。
一から設計していく後戻りなしのウォーターフォールのような大規模なシステム開発にはあまり適していません。
開発工数の短縮
サービスはローンチすればゴールではなく、ユーザーの反応を見ながら改修を繰り返して成長していきます。
少しの機能改修であっても、コーディングして開発している場合はコンパイル・ビルドに加えてテストの工程が必要です。
ノーコードであれば最短1日でリリースできるため、開発工数の短縮が可能となります。
通常 自社開発を行う場合は開発そのものの工数に加えて、単体テスト・結合テストなどのテスト工数も確保する必要がありますが、サービス提供者側で機能が担保されているため、テスト工数をカットすることができます。
注意点
シャドーITになる可能性がある
★シャドーITとは?:企業が把握していない、従業員が使用しているPCなどのデバイスもしくはサービスを指します。
悪意がなくとも、企業側が必要なツール・サービスに対する社内的ニーズに気付かず整備しなかった場合に、個人(or部門などのセクション)の判断で導入してしまうケースは考えられます。
ノーコードに限る話ではありませんが、会社のトップ層には意見がオープンにできる環境作りが求められています。
ノーコード提供事業者への依存
ノーコードを提供する事業者がサービスを終了すると、代替えとなるサービス・ツールを用意せねばなりません。
いきなり明日から使えなくなる可能性は非常に少ないですが、アプリの稼働状況が提供事業者に依存していることは自覚しておく必要があります。
▼ワンポイント
note株式会社が運営するWebメディア「cakes(ケイクス)」が2022年8月をもってサービス終了しました。
10年続いてきたサービスが終了すること自体は珍しいことではありませんが、寄稿者にとって問題となったのは
「エクスポート機能がないにも関わらず、サービス終了後にはすべての記事が閲覧できなくなる」事実です。
ツールに依存するほどサービス終了のインパクトが大きくなるおそれがあります。
ノーコードに関わらず、クラウドサービスを選定する際には、外部連携先やエクスポート機能は充実しているかどうかが重要な視点になるでしょう。
また、価格改定があった場合に従わざるを得ないのもデメリットです。
国産のノーコードツールはまだまだ少なく、円安の影響もあり今後 値上げの可能性も十分考えられます。
現在、他のノーコードサービスやツールに丸ごと移動できるサービスは存在しないため、値上げしたからといって別のノーコードサービスを利用するのは容易くありません。
ノーコードツール10選
代表的なノーコードツールを「アプリ開発」「Webサイト開発」「ECサイト」に大別しご紹介します。
アプリ開発
Bubble
Bubble(バブル)はWebアプリを開発できるプラットフォームです。
データベースやバックエンドもノーコードで開発・設定が可能となっています。
パーツはドラック&ドロップで配置でき、簡単な文字入力以外はマウス操作で完結する直感的な操作が特徴です。
自由度が高く、外部サービスのプラグインも多数用意されているため、どちらかといえば難易度は高めですが知名度が高いこともありネット上で様々な情報が手に入れられます。
アメリカ製のため画面もすべて英語ですが、日本語コミュニティサイトも用意されています。
Adalo
Adalo(アダロ)はモバイル向けアプリケーションに特化したノーコードアプリ開発ツールです。
Webアプリはもちろん、ネイティブアプリの開発も可能となっており、作成したネイティブアプリはApp StoreやGooglePlayに登録できます。
ChatやTo-Do Listなど、目的別のテンプレートが用意されており短期間でアプリ開発を行うことができます。
マニュアルなど表記はすべて英語となっており、日本語の情報もまだ少ないため、Google翻訳などの翻訳ツールを使用しながら開発する必要があります。
PWAにも対応しています。※PWAについては次のGlideで解説します。
Glide
Glide(グライド)はアメリカ発のPWAアプリ特化のノーコードアプリ開発ツールです。
※ PWA:Progressive Web Apps(プログレッシブWebアプリケーション)の略で、ブラウザ上で動くWebアプリをネイティブアプリのように利用できる技術です。
Googleスプレッドシートを用いてWebアプリを作成できるサービスを提供しており、GoogleスプレッドシートをGlide上で読み込むことによりアプリが作成できます。
テンプレートも豊富に用意されているため、初心者でも短期間でアプリ開発が行えます。
ただしPWAなのでApp StoreやGooglePlayで公開できません。
Click
Click(クリック)は日本のNoCode Japan株式会社が提供するノーコードアプリ開発ツールです。
ノーコードツールの中でも貴重な国内産ツールであり、実際の開発画面も日本語に対応しているので利用ハードルは低いです。
国内の導入実績も多く、開発したアプリが公開できる「Community」やQA解決の場「Forum」といったプラットフォームが充実しており、安心して利用することができます。
アップグレードも頻繁に行われているため、今後注目されるツールのひとつです。
Webサイト開発
Webflow
Webflow(ウェブフロー)はアメリカ発のノーコードツールです。
ECサイトの構築も可能となっており、決済代行サービス「Stripe」の接続も備わっているためWebflowで決済まで完結できるのが特徴です。
デザインテンプレートは無料・有料含めて100種類以上が用意されており、洗練されたデザインも多々あります。
まずはテンプレートを使用して、画像や文字の一部を差し替えすることで実用性のあるサイトが出来上がります。
他のツールとの連携が充実しており、コードのエクスポートが可能なのでコーディングの知識がある人にもおすすめです。
STUDIO
STUDIO(スタジオ)は日本のSTUDIO株式会社が提供するノーコードWebデザインプラットフォームです。
STUDIO CMSではチームでコンテンツ作成・管理が可能で、リアルタイムの共同編集ができるためリモートワーク導入企業にも取り入れやすいポイントになっています。
フォーム設置などのデザインもシンプルな操作で詳細まで調整が可能で、初心者からデザイナーまで使いやすいツールです。
Google Search Consoleなどの最適化ツールに加え、Google Analytics・HubSpot Trackingのような分析ツールとの連携も用意されており、運用中のSEO対策にも最適です。
ECサイト開発
Shopify
Shopify(ショッピファイ)はカナダに拠点を置く多国籍eコマース企業Shopify Inc.が提供するノーコードECサイト開発プラットフォームです。
ECプラットフォームシェア世界No.1であり、日本法人Shopify Japan 株式会社も存在します。
ECサイトに必要な機能は一通り揃っており、かつ各種SNSとの連携やSEO対策も備えているため本格的なECサイトを作成したい方にもおすすめです。
プランによりできる範囲は異なりますが、最上位のShopify PlusになるとSSO(シングルサインオン)も実装出来たり、実店舗との融合も可能になります。
BASE
BASE(ベイス)は日本のBASE株式会社が提供するノーコードのネットショップ作成サービスです。
Shopifyと同様、ECサイトに必要な機能がほぼ整っています。
スタンダードプランでは初期費用だけでなく月額費用も無料となっており、売上にかかる手数料のみが請求されます。
運営側が負担してくれるクーポンの定期発行や、SEO設定・Instagram広告などの無料の拡張機能が充実しており、とりあえず初めて見るのに最適なサービスです。
その他
Airtable
Airtable(エアーテーブル)はクラウド型データベースサービスです。
Googleスプレッドシートに似た操作感でサクサク動かすことができます。
カンバン形式やカレンダーなどさまざまな用途に利用でき、タスク管理なども容易に行えます。
スナップショット機能が備わっており、緊急時の対策も考えられています。
SaaStainer
SaaStainer(サーステイナー)は弊社ストラテジットが提供するSaaS連携専門アプリストアです。
初期設定から運用までノーコードで利用できる50種類以上の連携アプリをご用意しております。
初期費用は0円かつ月額利用料のみで利用可能なため、SaaS間のデータ連携でお悩みの方は一度ご検討ください。
無料アプリも多々あり、ほとんどの有料アプリでは無料のトライアルが可能となっております。
(SaaS事業者様向け)JOINT iPaaS for SaaS
JOINT iPaaS for SaaSは弊社ストラテジットが提供するSaaS間連携プラットフォームです。
JOINT iPaaS for SaaSなら、ノーコードで簡単に連携アプリが構築できます。
他社SaaSやオンプレミスとのデータ連携でお悩みのSaaS事業者様は一度ご検討ください。
いかがだったでしょうか。ノーコードを使ってみようかな?と興味を持っていただければ幸いです。
ノーコードは今後も進化していくことが想定されます。
叶えたいニーズに応じて選定し、最大限に活用していきましょう。
SaaS連携開発やAPI開発支援でお困りの方へ
多くの企業で、1社あたり10程度のSaaSを利用しているといわれています。
それだけSaaSは多くの企業に必要とされていることがわかります。 しかし、複数のSaaSを利用することで情報の分断や多重入力といった問題が起こるリスクがあります。
業務の効率化を求めて導入したはずなのに、複数のSaaS利用によって新規導入や効果的な運用の足かせとなることがあるのです。
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