後発参入企業必見!売れるSaaSを作るための心得・戦略とは?|SaaS導入・連携のプロが解説

2024年の今も尚伸び続けているSaaS市場において、今後新たなSaaS製品を開発・提供するということは後発参入と言えます。
一見不利にも思えますが、後発参入を強みと捉え、売れるSaaSとはどのようなものかをしっかりと理解し製品に反映することで、先発製品を超えるような良い製品を作ることが可能です。

これから新たにSaaS市場へ参入したい後発でも売れるSaaSを作りたい!と考えている皆さんは、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

売れるSaaSを作るための心得・戦略とは

SaaS市場について

富士キメラ総研の調査によると、日本のSaaS市場は2023年に1.4兆円となっています。
新型コロナウイルスによる影響を大きく受けた2020年以降は度々上方修正も行われており、SaaS市場はますます勢いを増して成長し続けています。

国内の動向としては、特に企業内の業務システムのクラウド移行や、コラボレーションツール、顧客関係管理(CRM)、人事管理、会計ソフトなどのバックオフィス向けビジネスアプリケーションの導入が盛んに行われています。

デジタルトランスフォーメーションの推進やクラウドサービスの普及に伴い、2027年には2兆円を超えるといった予想もされているため、今後成長し続けることが期待できる市場であると言えます。

そんな日本のSaaS市場には、既に数えきれないほどの企業が参入しており、提供されているSaaS製品も多岐にわたります。
早期参入企業であると2000年頃には既にサービスが始まっていたことを鑑みると、今後SaaS市場へ新たに参入する場合は、やはり後発参入となってしまいます。

しかしまだまだ成長が見込める市場ですので、後発参入企業でも十分に入り込める可能性があると言えます。

後発参入する際の心得

後発参入のSaaS企業が成功するためには、重要なポイントがいくつかあります。

ユーザー中心の設計

ユーザーのニーズを理解し、それに基づいて製品を設計することが重要です。
ユーザビリティ、使いやすさ、そしてユーザーのフィードバックを積極的に取り入れることも必要です。
このポイントを満たすことで、既に導入している製品があったとしても、より良い製品として乗り換えを検討する企業が出てきます。

市場調査と競合分析

市場の動向や競合他社の製品を分析し、自社の製品がどのように差別化できるかを把握することが重要です。
突出した強みを持った製品はユーザー側にも良さが伝わりやすいですし、あえて競合の少ない業界に特化した製品にすることで市場を獲得していくといった方法もあります。

マーケティングとセールス戦略

効果的なマーケティングとセールス戦略を立てることが重要です。
ターゲット市場を明確にし、適切なチャネルを活用して製品を宣伝し、顧客を獲得することが必要です。

 

これらの要素を考慮しながら、ユーザーのニーズに応える優れた製品を提供することが、競争力のある市場で後発参入のSaaS企業が成功する鍵になります。

後発参入SaaSでも売れる戦略とその特徴とは?

これからSaaS製品を企画・開発しようと考えている皆さんには、まず、どのような戦略で先発参入企業の競合たちと戦っていくのかを入念に検討していただくことをお勧めします。

SaaS製品における戦略はいくつか選択肢がありますが、その中でも筆者が特に有益であると考えている以下3つの戦略とその特徴をご紹介します。

SaaS製品展開における戦略例

ランド&エキスパンド戦略

ランド&エキスパンド戦略は、個人の顧客を最初に獲得("ランド")し、その後、その顧客により多くの価値を提供することでサービスの利用範囲を拡大する("エキスパンド")という手法です。

例えば、最初は企業に所属する1個人や特定部署がなんらかのきっかけや興味で使い始めたものが、使っていくうちに利便性などが周囲や会社に認められ、会社全体で利用することになるようなケースがこれにあたります。

ランド&エキスパンド戦略は既存市場での成功例を基盤にしていることから、市場の安定性や収益性が高い場合、拡大戦略のリスクを最小限に抑えることができます。
その反面デメリットとして、競合他社の多い分野であると価格競争になりやすいため、いかに低コストでサービス提供し始められるかが課題となります。

ニッチ戦略

ニッチ戦略は、特定の市場セグメントや顧客層に焦点を絞り、そのニーズや要求に特化した製品やサービスを提供する戦略です。
いわゆる「バーティカルSaaS」と呼ばれる製品がこれにあたります。(バーティカルSaaSについての詳しい記事はこちら

ニッチ市場は一般的に大規模市場よりも小規模で、一般的な製品やサービスでは満たされない特定の需要を持つ顧客に焦点を当てます。

ニッチ市場の特徴としては、非常に熱心な顧客層によって成り立っているということです。
専門性の高い業種であることが多いため、その業種の専門性を正しく深く理解し製品に反映させ顧客満足度を高めることで、顧客ロイヤリティを構築し、長期的な顧客関係を築くことができます。

またニッチ市場では一般的に需要が高く、供給が限られているため、製品やサービスの価格設定においてプレミアム価格を設定することができます。これにより、高い利益率を確保できることも特徴の1つです。

ニッチ戦略のデメリットには、市場の規模が限られているため成長の限界があることや、専門性に富んだ既存製品が存在する場合は、競合争いがより厳しくなることなどが挙げられます。
しかし、適切な市場調査や戦略的なアプローチにより、ニッチ市場での成功を実現することは可能です。

APIプラットフォーム戦略

API(Application Programming Interface)プラットフォーム戦略は、企業がAPIを使用して外部の開発者やパートナーとの連携を可能にし、製品やサービスの拡張、統合、カスタマイズを促進する戦略です。
APIプラットフォームは、企業が提供するAPIを中心とした開発環境やエコシステムのことを指し、これにより新しい機能やサービスを素早く追加することが可能になるため、顧客の要件に適応し続けることができます。

近年ではSaaSの普及により、1企業あたりに導入されるSaaS製品の数が増え続けているため、SaaSとSaaS同士を自動で繋ぐ”SaaS間連携”が非常に重要視されています。
どのような分野の製品だとしても、このSaaS間連携は必要不可欠になり、競合との差別化を図れるだけでなく顧客満足度の向上にも繋がることから、APIプラットフォーム戦略は今後より多くの企業で採用されることが見込まれます。

ただしAPIプラットフォーム戦略のデメリットには、適切な管理の難しさといった点があります。
自社の製品や連携先のAPIは常に変化していくことが考えられるため、APIの変更やアップデートが行われた際に、既存のアプリケーションやサービスが影響を受ける可能性が出てきます。
また、APIの利用状況やアクセス権の管理・料金設定などを適切に行う必要がありますが、これには一定のリソースと専門知識が必要となりますので、自社で1から100までを管理するには負荷がかかってしまうため、専用のツールを利用するなど工夫が必要です。

“売れている”後発参入SaaS製品事例

では、後発参入と言われるSaaS製品にはどのようなものがあるのでしょうか。
後発参入でありながらも、先発参入企業に負けず劣らず”売れている”SaaS製品例をいくつか紹介します。

Notion

Notion公式

▽画像出典元:「Notion」公式サイト

Notionは、ノート作成、タスク管理、プロジェクト管理、ファイル保存、カレンダー、データベース機能、ドキュメント共有などといった多くの機能を1つのプラットフォーム内で完結することができるSaaS製品です。

実はNotionが日本語に正式対応したのは2022年11月と非常に直近なのですが、それぞれでアプリケーションを切り替える必要がないことで業務を効率的にこなすことができることが評価され、近年導入する企業が急速に増加していることで知られています。

そんなNotionは、まさに前述の「ランド&エキスパンド戦略」を採用して成功した事例と言えるかと思います。
1個人や特定部門で使ってみたことをきっかけに導入に至った、といった企業は少なくないのではないでしょうか。

Slack

Slack公式

▽画像出典元:「Slack」公式サイト

Slackは、効率的なコミュニケーションが可能なチャットツールです。ビジネスシーンでの利用が拡大しており、チームコミュニケーション向上に役立ちます。

ビジネスチャットツールの先発参入製品といえばMicrosoft MessengerやSkypeなどが挙げられます。これらは当時かなり普及が進んでいましたが、2013年にサービスが開始、2017年に日本語版がリリースしたSlackは後発参入にも関わらず、先発参入製品に引けを取ることなく現在も普及が進み続けていると言えるでしょう。

SlackもまたNotionと同様に、「ランド&エキスパンド戦略」で成功した事例の1つです。

ANDPAD

ANDPAD公式

 

▽画像出典元:「ANDPAD」公式サイト

ANDPADは、現場の効率化から経営改善まで一元管理できるクラウド型建設プロジェクト管理サービスで、業界に特化したバーティカルSaaSとなります。

建設業界以外の業界でよく利用されているプロジェクト管理ツールの機能を真似て製品企画を行い、建設業界特有の”建設工程表”の機能開発にフォーカスした製品です。

SaaS業界において後発参入であることを逆手に取り、既存製品よりもさらに業界ならではの課題に食い込むことで、現在では導入企業6年連続シェアNo.1となっています。
まさに、「ニッチ戦略」における成功事例と言えます。

バクラク

バクラク公式

▽画像出典元:「バクラク」公式サイト

バクラクは、請求書処理、経費精算、稟議申請、法人カードなどの支出管理を一本化し業務効率化を実現するサービスです。
インボイス制度や電子帳簿保存法等の法令対応もカバーしています。

請求書処理や経費精算といった分野は、既存システムが軒を連ねており、低コストで利用を始められる上に導入効果が大きいことから、既にシステムを導入済の企業も多いことが特徴です。そのような市場の中バクラクは2021年1月からサービスを開始し、まさに後発参入そのもの。

複数サービスを同時リリースし、支出管理に関して網羅する一方で、”周辺ソリューションとの連携”を重視した戦略も取り入れ、早期の段階でAPIを公開しています。
後発であるがゆえに市場の意見を聞き取りやすく、「本当の便利とは」を体現しようとしているシステムと言えそうです。

組み込み型iPaaSなら『JOINT iPaaS for SaaS』

様々な戦略がある中で、ランド&エキスパンド戦略、ニッチ戦略、APIプラットフォーム戦略といった3つを取り上げました。

前者2つについては当然ながら、製品の構想段階で方向性を決めておかないことには実現できないものとなりますが、残りの1つであるAPIプラットフォーム戦略は、性質上あとから目指すことも可能となりますので、製品リリース後の展開を検討するSaaSベンダーもいるかもしれません。

しかし、APIプラットフォーム展開を前提とせずに一度作ってしまった製品を、あとから軌道修正することは容易ではなく、結局リソース不足などといった理由で後手に回ってしまう・・・ということは、よくあるケースです。

そこで、そんなケースに陥ることなく”連携”を強みとした製品を構築していただくため、ストラテジットでは、製品の構想段階からAPIプラットフォーム戦略を取り入れ、製品自体にiPaaSなどのツールを組み込んでしまう、といった方法を推奨しています。

実は当社ストラテジットも、iPaaS分野では後発参入企業です。(iPaaSについての詳しい記事はこちら

既に国内外でiPaaSと呼ばれる製品が多く展開されている中、ストラテジットがiPaaSを提供することを決めた理由は、まさに「後発参入だからこそできることがある」と考えたためです。
創業時から”SaaSとSaaSの連携”に着目したサービスを提供し続けてきたからこそ、SaaSベンダーとエンドユーザの本当のニーズを理解し、それを叶える製品を作りたい、そんな思いから作られたiPaaSが『JOINT iPaaS for SaaS』です。

JOINT iPaaS for SaaS バナー

これからSaaS市場への参入を検討している皆さんには、ぜひ組み込み型iPaaSの導入もあわせて検討していただきたいと思います。

まとめ

本記事では、後発参入でも売れるための戦略・特徴や、製品例を紹介してきました。
不利なように思える後発参入ですが、戦略を立てポイントを抑えることによって、既存市場をひっくり返すことや市場を新たに切り開くことも可能ということを、ご理解いただけたでしょうか。

後発参入を強みと捉え、今までの市場にはなかったより良い製品を目指していきましょう。

 

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この記事を書いた人

株式会社ストラテジット