freee株式会社
会計ソフトからバックオフィス全体、そしてクラウド型ERPへと拡大を目指す
ストラテジットを信頼
クラウド型の会計ソフトで知られる「freee」は、同じくクラウド型の人事労務ソフトや法人設立用ソフトを提供するなど、今やバックオフィス業務全体にサービスを拡大しています。次に目指すのは、コアビジネスである統合型クラウドERPサービスのさらなる拡充。そこで、開発パートナーの1社としてストラテジットをお選びいただきました。その背景や成果について、お伺いします。
目次
- 1 はじめにfreeeの業務について教えてください。
- 2 freeeの強みや他社との違いは何でしょうか?
- 3 「マジ価値」を“届けきる”までが、freeeのコミットメントだとしていますね。
- 4 競合他社とも連携をしていますが、あえて競合とも連携する理由は何でしょうか?
- 5 freeeは日本の会計ソフトベンダーで真っ先にAPI公開をされたそうですね。
- 6 ここからはストラテジットに対しての印象を教えてください。
- 7 ストラテジットは設立して日の浅い会社ですが、 その部分に不安はありませんでしたか?
- 8 ありがとうございます。では、ストラテジットに課題があるとしたら、どんなところでしょうか?
- 9 最後に、freeeの将来やサービスの方向性について教えてください。
はじめにfreeeの業務について教えてください。
弊社は「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げて、スモールビジネスをより強く育てていくための各成長段階をサポートするサービスを提供しています。「クラウド会計ソフトfreee」や「人事労務freee」をはじめとする、バックオフィス業務サービスが主要な製品です。今は、中長期的な経営戦略として、会計ソフトや人事労務ソフトの域を超えて、様々な業務でfreeeをご利用いただくことでワンストップで解決する統合型クラウドERPサービスの拡充に取り組んでいます。
freeeの強みや他社との違いは何でしょうか?
ひとつは、他社に先駆けていち早くAPIを公開し、ユーザーがログイン後に画面操作でできることと同等の操作が可能になる基盤を無償で公開していることです。これは、DXや業務効率を高めていくうえで必要不可欠なことで、freeeを軸に様々な業務システムを手軽につなげることができます。
また、freeeには「マジ価値」(=本質的(マジ)で価値ある:ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする。)という言葉を多くの社員が口にします。ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする、というカルチャーがあるのですが、常にユーザーを主語として社員が能動的に動くため、製品・サービスに具備すべき提供価値がブレず、機能開発や改善を進めることができることも大きな特徴となっています。
「マジ価値」を“届けきる”までが、freeeのコミットメントだとしていますね。
はい。とはいえ、現在freeeのお客様のニーズや課題解決だけに「マジ価値」にフォーカスしすぎるだけでなく、常に3年後、5年後の未来を考えて行くことが重要だと思っています。そのためには、今現在では恩恵を受けるユーザー様が少ないサービスとのAPI連携をどんどん作っていく必要があるとも思っています。
たとえば、東急ハンズには年に数個しか売れないような商品が置いてありますよね。数個しか売れないけれど、その重要性は一部のお客様にある。そんなマニアックな連携も必要だと考えています。
競合他社とも連携をしていますが、あえて競合とも連携する理由は何でしょうか?
前提としてfreeeは、会計ソフトを提供する会社です。「餅は餅屋」として会計分野については専門性を有していますが、会計データを作る元となる販売管理システムや業種固有の事情が存在する一部の会計処理については、機能提供が追い付いていないfreee側の事情もあります。逆にその分野に専門性を発揮するベンダー様も世の中には多く活躍しており、それらをAPI連携により繋げることで、会計freeeをご利用のユーザー様に価値を届けようというわけです。サービスをご利用になるのはあくまでユーザー様なので、freeeと競合するからAPI連携をしないという選択肢はなく、競合他社とも繋がることでユーザーに価値提供ができると考えています。
また一般論として、複数のシステムやSaaSサービスを使うことでチームや部内での効率化が進む一方、利用するサービスの数が増え、サービス間の連携が取れなくなるという課題が出てきてしまいます。その解決のために、API連携は今後もますます重要になると考えています。
freeeは日本の会計ソフトベンダーで真っ先にAPI公開をされたそうですね。
POSレジシステムなどからCSVダウンロードして他の会計ソフトなどにアップロードする、という作業が必要とされていた中で、APIを提供し、省力化の一助となる基盤を作ったのがfreeeのAPIサービスのスタートです。一方で世の中の多くのスモールビジネスは紙から表計算ソフトへの転記、Excelでマクロを組んで会計処理などをしている企業もあります。企業の数だけ、業務の数だけやり方がある。それらに対応できるのが、APIだと思います。
会計というのは企業活動全体でみると、正しい決算書類をつくり、納税を行ういわば最終工程。つまり、freeeは、出口からバックオフィス業務に人手が掛からなくなるように最適化をしていることになります。まだまだ企業にはデジタル化しなければいけないものがたくさん出てくると思います。なお、API活用はこれからさらに重要さを増すと考えて、freeeではAPIエコノミー形成を目指す新戦略「freeeオープンプラットフォーム」を発表しています。
ここからはストラテジットに対しての印象を教えてください。
ベンダーさんに開発を依頼すると「仕様が決まらないとできません」「仕様書をください」「話が具体化したら教えてください」と言われるケースが多いのですが、ストラテジットさんはそれがまったくなく、いつも適切な提案をしてくださいます。
また、こちらの意図を速く深く汲んでくれるので、freeeが求めるクオリティをよく理解して、前向きに受け入れてくれるのもいいところですね。最初の開発依頼での経験を吸収・蓄積して、次の開発に生かしてくれる。私も長らくシステム開発に携わっていますが、そんな会社は今まで出会ったことがありませんでした。社内の他チームからも「ストラテジットはガッツがある」「次に生かしてくれている会社だ」と評価する声が上がっています。
ストラテジットは設立して日の浅い会社ですが、
その部分に不安はありませんでしたか?
なかったですね。一般的に1つの開発ベンダーに全ての開発をお願いすることはリスクが大きく、freeeでも複数の開発ベンダー様とお付き合いをしています。そんな中でストラテジットさんは、仕様が決まっていない中でプロジェクトの着地点を見据えて作るのがうまいですよね。ゴールの品質を想定しつつ、アジャイル開発を進めていく部分でとても信頼ができました。
また、開発者(エンジニア)の顔が見られるのも、安心材料です。再委託することなく、誰が何の開発をしているのかが見える透明性は、大きな信頼につながります。これまで、開発者の顔が見えない状態で依頼していたベンダーさんもいましたが、ストラテジットさんは開発者とも日々のコミュニケーションが取れるし、打合せにも出てくれるので安心してお願いできます。
あとは、スピード感ですね。10近いSaaS間連携・freeeの機能拡張モジュールを比較的ローコストで、しかも短期間で開発してくれました。この開発のスピード感は、freeeにフィットしています。特に指示してないのに、最初から拡張できるように作るあたりもさすがと思いました。
ありがとうございます。では、ストラテジットに課題があるとしたら、どんなところでしょうか?
期待感を込めて言うと、これまではストラテジットさんから「こんな連携どうでしょう?」と提案をいただきながら意見交換して開発を進めていましたが、「こういうの作ってみました。アプリストアに載せませんか?」というより一歩踏み込んだ提案をいただけると大変嬉しいと思っています。御社のSaaS間連携の知見と、freeeのAPIに関する知見をもとに、「こんなの作りました」というのをぜひ世の中に公開し、ひいてはスモールビジネスの業務生産性に寄与する取り組みをやっていけると面白いと思います。
最後に、freeeの将来やサービスの方向性について教えてください。
プロダクトやサービスは、加速度的な成長が必要です。先に申し上げたように、freeeもさらに多くのお客様にサービスをご利用いただくためには、様々なサービスとの連携がさらに重要になると思っています。
一方で会計ソフトはあくまで“箱”です。出てくる決算書の数字が正しければ、ソフトが何であるかは問われませんから、何らかの付加価値をつけていくことが大切になります。会計ソフトの中でも、外部連携可能なサービス数が多く、ログインして人が操作するのと同等なことができるAPI連携を簡単にはじめられるから会計ソフトはfreeeだよね、と言われるような、他の追随を許さぬ圧倒的な付加価値をつけていきたいと思ってます。